肌にダメージを与える「紫外線」。
きちんと知ることが、効果的に肌を守る第一歩です。
そこで、紫外線の知識やつきあい方を、
紫外線による肌への影響を研究する市橋正光先生に伺いました。
市橋正光先生
医学博士、神戸大学名誉教授。皮膚の老化・アンチエイジングに関する研究の他、子供を紫外線から守るための啓発活動、予防医学の啓蒙活動など多岐に渡り活躍。
肌にダメージを与える「紫外線」。
きちんと知ることが、効果的に
肌を守る第一歩です。
そこで、紫外線の知識やつきあい方を、
紫外線による肌への影響を研究する市橋正光先生に伺いました。
市橋正光先生
医学博士、神戸大学名誉教授。皮膚の老化・アンチエイジングに関する研究の他、子供を紫外線から守るための啓発活動、予防医学の啓蒙活動など多岐に渡り活躍。
木陰でも、大気中で散乱したり地表からの照り返しで、直射の40〜50%の紫外線が。曇りの時は、晴天時の50〜80%の紫外線B波が届きます。
実は春から初夏が要注意!
紫外線は太陽から届く光の一種で、波長の長さによって3種類に分けられます。一番波長が短いのが紫外線C波。これは大気中のオゾン層や酸素で吸収されるため、地表にはほとんど届きません。一番波長が長いのが紫外線A波で、私たちが浴びている紫外線の90〜95%を占めています。紫外線B波は、波長の長さがA波とC波の間にあり、地表にはわずかしか届いていません。けれど紫外線は波長が短いものほどエネルギーが強いため、紫外線B波はA波の1000倍以上といわれる有害作用をもつと言われています。
紫外線の量は、A波は季節によってそれほど違いはありませんが、B波は4〜9月が多く降り注いでいます。特に4、5月は急に紫外線量が増える時期にも関わらず、紫外線に対する準備がまだできていなくて、うっかり日焼けなどで肌にダメージを受けることも多々。春から初夏こそ、紫外線に対する意識が最も必要と言えそうです。又、紫外線A波、窓ガラスを超えて入ってきます。車中や部屋の中にいても注意が必要です。
一日のうちでも、紫外線の量は変化します。午前10時〜午後2時くらいまでが多い時間帯。その時間に外にいるなら、たとえちょっと買い物に出る程度だとしても、必ず紫外線対策をとりましょう。また夏の朝の紫外線の強さは、冬の真昼頃に匹敵します。「通勤・通学程度だから」という油断は禁物です。
シミ、くすみ、シワ、たるみの原因に
紫外線による日本人の肌への悪影響で最も多いのは「シミ」でしょう。遺伝子に傷をつけるのも紫外線B波のしわざです。また、顔の健康感を損なう「くすみ」は、加齢により皮膚の代謝が遅くなるために起きます。紫外線A波はB波よりも肌の奥に入り込んでいきますが、このA波とB波により皮膚に生じる活性酸素が原因で「シワ」「たるみ」となります。肌のハリや弾力は、肌の真皮にあるコラーゲンやエラスチンといった弾力線維が大きく関わっていますが、紫外線B波とA波は長期間にわたりこれらの線維を切ったり変性させるのです。子供の頃は新陳代謝が活発なので、変性した線維は除去され、次々と新しいコラーゲンやエラスチンを合成して置き換えてくれるので、紫外線を浴びてもシワはできません。けれど、変性線維の除去能力が落ち、新しい線維を作る能力が衰えてくる年齢になると、紫外線の影響がシワになって表れると言われています。また、若い頃からたくさん紫外線を浴びた皮膚の線維芽細胞は線維を作る能力が弱まっているため、早く老化が始まる傾向にあると考えられます。
グッズと紫外線カット剤を併用して
紫外線は、帽子や日傘と紫外線カット剤の両方で防ぎましょう。帽子はつばが広いものを。日傘は、紫外線カット効果のある繊維を使ったものがより効果的です。
紫外線カット剤は、紫外線B波を防ぐ指標のSPF値と紫外線A波を防ぐ効果のPA値を目安に選びましょう。正午前後に2時間ほど太陽を帯びるなら、SPF30〜50、PA+++〜 ++++を使うことを勧めます。最近の紫外線吸収剤は、紫外線による劣化もほとんどないので汗で流れたり、こすって落とさない限り、長時間塗りなおさなくても大丈夫です。また、かぶれも少なくなっています。適切な紫外線対策を実行し、高齢まで若々しい肌を維持しましょう。
日傘は、柄を短く持つと照り返しを防げる。服は袖や丈の長く、色の濃いものを。
《太陽とつきあうための5か条》
◎歩く時は木陰・日陰を選ぶ
日陰に入れば、直射日光の50〜60%を防ぐことができます。できるだけ、直接太陽に当たらないようにしましょう。
◎帽子や日傘などで紫外線をブロック
特に紫外線が強くなる4〜9月は、自分で「日陰」を作りましょう。つばの広い帽子や黒、紺など色の濃い日傘が有効です。
◎太陽にあたる部分には紫外線カット剤をつける
顔や首、デコルテ、腕、脚など、洋服で隠せない部分には、紫外線カット剤をつけましょう。塗りムラのないよう注意して。
◎窓ガラスには紫外線カットフィルム
紫外線B波はガラスが吸収しますが、A波は透過します。紫外線カット機能のあるガラスやフィルムを活用しましょう。
◎抗酸化作用のある食材を積極的に
紫外線は体内の細胞を酸化させ、それが老化につながります。緑黄色野菜や果物など、抗酸化作用の強い食材を摂りましょう。
◎肌に当たるものは、天然素材を選ぶ
一般的に化学繊維は肌を乾燥させます。ウール、シルク、コットンなど天然素材のものを身につけましょう。
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